2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

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月に着いて4日目に信じられないものを見た そらを覆う、巨大な 黄色いクジラ 音もなく 空を泳ぐ 僕と目が合い 一粒の涙を流し また泳いで 月の地平線に消えていった、

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僕は見える 輝く広い紺碧の空の下で、やせ細り、ひげの生えた老人となったまだ若い僕が、 草原の丘の上の風が吹き抜ける大樹の木漏れ日のなかで、 狭く痩せたひざを抱え、待っていた。 そう僕の手を取って、最後の絶望へ導いてくれる少女を その無邪気なひと…

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柔の肌を脱がせる事ができたのは 捨てた時間を思いださずにすむから 晴れた時間を 睡眠過多の吐き気 いつも悩んでかんじている君たちには 手に届く水の膜を 向こう側に見えているのは 少しだけ違ういつもの小雹の間違え 指先で感じる髪から頬 首筋、肩 腕か…

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沈黙に至り 沈黙を抜ける なんとも沈黙は重要で 通り道として必ず沈黙にいたる 行き着くところ 死のようにだれも逃げられない 思考の行き先 純粋な経験 議論の停止 続くおしゃべり だが 沈黙を破らないと いや 沈黙で完成なのかもしれない いや 沈黙は完成で…

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朱の神社の脇を抜けて 竹林の中に入った 知った道 いつも違う静かなざわめき つめたい空気 あたたかな竹林のにおい いつもの場所 いつものように 竹をよけ目指す 竹の緑 まっすぐに伸び 林の上まで届く 細い竹の柱を くぐりぬけ 落ちた枯れ葉の音を立てて歩…

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僕が発掘隊と行動を共にしているとき 羽虫の群がる川原で水汲みをしていると いつからいるかよくわからないが、ぽつんと女の子がいた 灰色のだらんとした、汚れた感じの服を着ていた 現地の子なのだろう、 すーっと 立ち 目を開いていた ながいながいあいだ…

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僕は都市を抜け出してやった! この茂った森を抜けたら また村落があった そこでほのぼの暮らして、余生を過ごす事も考えたが 逃げた! いろいろな村を 町を 逃げ出していった! もうここは人が及ばないところだろうと思って 腰をおろしたら そこは遺跡だっ…

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つらぬくたましいは描きかえられ 揺れるゆりの花束はまき散らされ 涙に濡れた夕暮れは月を呼び 終った夜は僕を眠らせ 始まりの火は青く燃え、消え ひとすじの煙は腐り始めた鉄の板に吸い込まれ 浮遊感は彼女の絵の中に 気持ちのいい手袋はつかめず 手紙はい…

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深く飛び込むには 帰るか帰らないか決めておかなくてはいけない あの哲学者はひとすじの糸も持たずに飛び込み帰ってこなかった いつか僕も帰らない飛込みをする日がくるんだろう ダイヴ 糸はなにか?やわらかい君たちだよ いつも踊りの中にいて 夢の中にいて…

9

突き飛ばされて落ちたとき もうなれた 岬から どぼんと海に落ちた 海の中は泡が湧き出ていて 耳元で色々な国の地方の子ども達が遠くで遊んでるような 細かい細かい音 一つの音の連続ではなく 色々な音の破裂 縦に横に斜めにあらゆる方向に走り 背の高い好き…

8

よるが、やってきた、つきをつれて なつが、やってきた かなしみをつれて また来るのは、知ってたのに こまった

7

全ての線は人が引きました あの山もあの海も僕のもの 間違いは初めから 光に満ちた 闇に満ちた あたらしい舞台をこうして作った 僕は冷たいパイプのいすに座って 君は薄い服を着てテレビの前に座って きらきら光る 静かな小刻みな歌を 胸に浴びて 君を眺めて…

6

長い時間をこえているので ある何人目か忘れたけど 何人目とはいえないか途中から 時間も一つの方向ではなく 僕もいくつもに別れていった 赤毛の女性と高台にある寺院にいった 何故あの寺院に化け物の像があるか! 魔除けなんかじゃないよ 根本的な不安 形も…

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夕暮れ影になった木がおい茂る、頭をつかんでくる手のような森丘 その頂に 不恰好に調和されいる半球に引っ付く望遠鏡 天文台 ここで僕と彼は働いている、 夕食も彼の妻と 夜も彼の妻と ある時 僕はある星を発見した その星には 空の色のように色とりどりな …

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影は一つの形です ある角度からの光です 影は正解です なんの答えにもなりません その影の首を締め上げ、たたき起こし 塔の最上階で 鉄のいすに縛り付け 食事もあたえず 裸にし 影の過去の誰にでもある消費されやすい赤裸々な体験を 問い詰めたりしました さ…

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兄の葬式の日 二つの花びらがはじけた日 その二つのどちらかのために僕は今こうしている 黒光りしたよく掃除された床に、足元に広がる悲しみを、伸ばされた悲しみを ”桜寺” 僕の住む町ではそう呼ばれています、 狭い低い黒い枠の門の外から見ると、中は水槽…

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平らに浮かぶ 見渡す限りのおだやかな何もない世界 なんにもありません さて 宵闇の屋上、錆びた手すりに 力もなく ひじをつきあごをのせて 繁華街の品の無い光を うっすらとながめて なめらかな緑の斜面に 雲と空の違いもみえない 口元に水泡のように言葉つ…

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正しい状態でなくてはいけないという事は解ったので、 強いのはふさぎこんだ魂だよ 歌を止め、呼吸を止め、降り注ぐ槍の中を 進んでいるのは、僕だけ 踏みしめる大地は僕が作った、 いつまでも、羊水の中に居ることは出来ない、 ここが何かはじめてみたとき …

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表現のために正しい言葉は使いません。 タイトルのdive deeplyは造った言葉です。

承認

社会に承認されないこと 雪が降っていて気持よかった 僕は今日も夢の女の子のひざで眠る。