2007-03-12 11 つらぬくたましいは描きかえられ 揺れるゆりの花束はまき散らされ 涙に濡れた夕暮れは月を呼び 終った夜は僕を眠らせ 始まりの火は青く燃え、消え ひとすじの煙は腐り始めた鉄の板に吸い込まれ 浮遊感は彼女の絵の中に 気持ちのいい手袋はつかめず 手紙はいつまでも捨てられ 山中に白い歩く人が 老人は自分の残りの時間の長さを感じ 星はいくつもの光を 出会わない人の笑顔を 息吹を 飛沫を ため息を 紙で切った手の傷が 真っ青な画面を 初めての生を 人を超えるとき 呼吸をはじめる前に 一つの嘘を