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影は一つの形です
ある角度からの光です
影は正解です
なんの答えにもなりません
その影の首を締め上げ、たたき起こし
塔の最上階で
鉄のいすに縛り付け
食事もあたえず
裸にし
影の過去の誰にでもある消費されやすい赤裸々な体験を
問い詰めたりしました
さて、それによって僕自身が問い詰められていると思いませんか?
いやなんと 問い詰める僕は問い詰められる僕とは
都合よく分けられているのです
その都合のよさは驚きで
解りやすく言うと
苦痛にしろ快楽にしろ
僕の空間の座標がゆがんでると気づかなければいいのです


前回のつづきを
僕の永い旅が
始まったときの話をしました。
桜のはじける話です
あの小部屋で会ったのは
上品な感じの老人でした
右足が悪いのか
すこし引きずっていたようです
その老人が言うには
その老人は僕の兄の孫で、
生まれることはなかったと、
兄を殺したぼくは
ずっと届くはずの血縁全てを殺したので
その罪により
僕が桜の花びらがはじけるのをみたら
あの潮騒の小部屋に連れてくることになっていたらしいです
どっちの桜の花びらがはじけたときか
わかりません
そして僕に課せられた罰は
滅せられたはずの子孫の
一生を途中から近くで寄り添い見ること でした


しかしそれが始まり何人かの子孫と
生活をともにしました
なぜか途中から子孫と関係ない人と
生活するようになりました
この僕の話は深く潜るために必要なお話です
少しだけ会った人のことを話します