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柔の肌を脱がせる事ができたのは
捨てた時間を思いださずにすむから
晴れた時間を 睡眠過多の吐き気
いつも悩んでかんじている君たちには
手に届く水の膜を
向こう側に見えているのは 少しだけ違ういつもの小雹の間違え
指先で感じる髪から頬
首筋、肩 腕から 乳房に 乳房をつかみ やわく唇を這わせ吸い
メスを入れる手つきを、ゆっくりと指の粘膜を下腹に 心を広げるように  
こうはじめてさわられた 夕方の建物の影の落ちる
口腔 恍惚 液 神経
触れられ息がこぼれ、まどろみのなかで
いいがたい 髪が張りつき 彼の唇が張りつく中で
服の中に入ってくる ボタンが 外され 私が
私が興奮し中央から紅い色をもってもかなわない
白いシャツは腕のとこで止まったまま、
夕日の光をしっとり吸収するように外気に触れ浴びる 
僕が私の乳房を さわっていた
粉の上に落ちる砂糖水、
夏の日に口に含む氷
僕が触る彼女の肌を
私が感じる


私の誕生 ある雪の日 僕、
夜、雪明り 暖かい車内から 黒い、夜の窓ガラス
ガラス糸の引く光 髪を束ねる光も束ねる
積もる雪の中を 通り過ぎた車の中から 見える一瞬
ぼかし、光る電話ボックスの中に
黒い髪長い髪黒いコートの、白い女性が 
受話器がぶら下がった  下に
うずくまっていた、
私はいつから  冷える雪の日の 雪のしずくの中で
あの彼の一言で 何か言われたか、
寒い、