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朱の神社の脇を抜けて
竹林の中に入った
知った道 いつも違う静かなざわめき
つめたい空気 あたたかな竹林のにおい
いつもの場所
 いつものように 竹をよけ目指す
竹の緑 まっすぐに伸び 林の上まで届く
細い竹の柱を くぐりぬけ
落ちた枯れ葉の音を立てて歩く
僕のお気に入りの
平らな少しこけのついた
まあるい岩に
こしかけ
その後ろに生える若い2本の竹に
背をもたれる


頭の後ろに竹の産毛の柔らかさ
生きている竹
やさしい岩の硬さ

竹と竹の間を浮遊しかけっこし抜けて行く風
さらさらと竹の葉をすり合わせ
はらはらと竹の葉を降りつもらせていく

僕は風の止まるのを待っている
風の音 竹林によどむさわやかな空気 葉の降る軌跡
僕の髪にやさしく 細長い枯れた葉が 降りつく
のせたままにする、いや 体を動かすことはしない


かぜがとまった


かさり かさり かさり
この音が好き
僕は薄目をあけて
待っている


白い足袋を履いたような足が
優雅にしなり歩く
落ち葉を踏んで
僕の元へ


僕のひざに音も立てず
とびのり
軽く伸びをして
まるまって寝てしまう


僕も寝よう