2007-03-12から1日間の記事一覧

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風も届かない 耳も聞こえない 夜はまったくをもって 輝きを閉ざし 闇がキラキラとひからせ 鬱により夜満ち通り歩き光水輝く、 うちにかえり くさい水道水コップいっぱい注ぎ あふれ出る水 飲み込む シャツの衿元濡れ 脱ぐ そよぐカーテンに誘われ、 光を吸う…

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廊下側の私の隣の席の男の子、私は多分好きだった。折り曲げる指とか さっきのやすみ時間に、そのこは私に帰りのバス代を借りた 定期を忘れたからと言っていた、 そのときはお家に帰るつもりはあったんだなと思う 少し夕方の五時間目 今日は5時間目で終わり…

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月に着いて4日目に信じられないものを見た そらを覆う、巨大な 黄色いクジラ 音もなく 空を泳ぐ 僕と目が合い 一粒の涙を流し また泳いで 月の地平線に消えていった、

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僕は見える 輝く広い紺碧の空の下で、やせ細り、ひげの生えた老人となったまだ若い僕が、 草原の丘の上の風が吹き抜ける大樹の木漏れ日のなかで、 狭く痩せたひざを抱え、待っていた。 そう僕の手を取って、最後の絶望へ導いてくれる少女を その無邪気なひと…

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柔の肌を脱がせる事ができたのは 捨てた時間を思いださずにすむから 晴れた時間を 睡眠過多の吐き気 いつも悩んでかんじている君たちには 手に届く水の膜を 向こう側に見えているのは 少しだけ違ういつもの小雹の間違え 指先で感じる髪から頬 首筋、肩 腕か…

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沈黙に至り 沈黙を抜ける なんとも沈黙は重要で 通り道として必ず沈黙にいたる 行き着くところ 死のようにだれも逃げられない 思考の行き先 純粋な経験 議論の停止 続くおしゃべり だが 沈黙を破らないと いや 沈黙で完成なのかもしれない いや 沈黙は完成で…

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朱の神社の脇を抜けて 竹林の中に入った 知った道 いつも違う静かなざわめき つめたい空気 あたたかな竹林のにおい いつもの場所 いつものように 竹をよけ目指す 竹の緑 まっすぐに伸び 林の上まで届く 細い竹の柱を くぐりぬけ 落ちた枯れ葉の音を立てて歩…

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僕が発掘隊と行動を共にしているとき 羽虫の群がる川原で水汲みをしていると いつからいるかよくわからないが、ぽつんと女の子がいた 灰色のだらんとした、汚れた感じの服を着ていた 現地の子なのだろう、 すーっと 立ち 目を開いていた ながいながいあいだ…

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僕は都市を抜け出してやった! この茂った森を抜けたら また村落があった そこでほのぼの暮らして、余生を過ごす事も考えたが 逃げた! いろいろな村を 町を 逃げ出していった! もうここは人が及ばないところだろうと思って 腰をおろしたら そこは遺跡だっ…

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つらぬくたましいは描きかえられ 揺れるゆりの花束はまき散らされ 涙に濡れた夕暮れは月を呼び 終った夜は僕を眠らせ 始まりの火は青く燃え、消え ひとすじの煙は腐り始めた鉄の板に吸い込まれ 浮遊感は彼女の絵の中に 気持ちのいい手袋はつかめず 手紙はい…