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平らに浮かぶ
見渡す限りのおだやかな何もない世界
なんにもありません


さて
宵闇の屋上、錆びた手すりに
力もなく ひじをつきあごをのせて
繁華街の品の無い光を
うっすらとながめて
なめらかな緑の斜面に 
雲と空の違いもみえない
口元に水泡のように言葉つむぎだす その前の言葉を、
その線のつながりのあなたで
からだを、そよぐ風も香も 一緒に包み纏め 悲しみに浸らせるように
沈めて 空気を押し出して 泡が
乳白色のたなびくひとすじ
あたえられたいすに腰掛け、なげだし
ゆるめ、足を伸ばし
見えないやさしい笑顔の痩せ細った少女に最後のお茶を持ってきてもらう
次はぼくがいれるね
流水のような体を、やわらくかたまった心を愛でたいな


だけど行かなくては
だらだらと涎のように垂れ流されるこの話を
すべて繋がった同じ話を
耳元へささやくた
自分を増やすことのすきな あなた達に
役好きの あなた達に
言葉の沼に引き寄せられたいあなた達に
新しい舞台を
僕にやさしいうたを
全ては利己的な安定に
ため息を一つ