2007-03-13から1日間の記事一覧

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コヌハとは来ぬ花、咲かない花という意味です。 一歩二歩と ずれ始めた、ゆるい体液を彼女は嫌がり 絶日を勧告される翌月 切実なる願いを 我が故に用いる点と線とを 曲げ幽吊る銀色の髪 少しの接触と、大げさでわざとらしい離脱 繊細なるぬくもりと、アイス…

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無駄にほころぶ笑顔を描いて 最上の月に浸らせ 産み泣く 効しなく 出来損ないの仮面は いつまでも売れ残り 湖畔にたたずむ人の美しい光が当たり一面を過剰に まぶしく心を酔わせ 何もかもが堕ちていく 捜査の責任は君がとりなさいね 夜間飛行 雨が走り出した…

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水たまりをながめながら 水たまりの深い底から 水でぼやけゆがんだ自分を眺めていた 揺らぐまっすぐな光が漂い揺られていた 水たまりの中は心地よく 焦りも不安も感じずに済んだ 現実から切り取られた現実があり それをひとつの現実だと思い込んで 周りも自…

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灰色の粉が降る街の跡を、ひきずり歩く 欲しい物がないから 奪うことはない なんとなく西に向かう 東でもいいけど 日の沈む場所に 向かうという理由を後からつけてみる こころがぽかり暇だから、恋人のこととかを想ってみる 足を勝手に歩かせて ここから離れ…

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大きな黒い翼と散り落ちる黒い羽が目の前を覆い、 不快な裂け目からはみ出た赤い恥肉が蒼空に閉口する気持ちをおしさげ 今日の夕日は人たちの弱い心から刺さる諦めで深く滲んでいるのだろうと そのようにまぶた越しに感じる。そのまま目をつぶったまま時間が…

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事故 6時間事故で、トンネルから出られなかった 春もまだ明けない3月 非常照明が付くトンネル内今から少し前 通り過ぎない冬 凍える中で、 細いかわいい雪病んだようなうす灰色の女の子が言います 「君の意思は君だけのもの、行き先を教えてください」 「誰…

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いつも通る 海岸どおり 寂れた 事故かなんかで曲がったさびたガードレールに 沿って歩く ぼんやりと昭和の香りが残る 茶色のビル レタリング?で看板にビルの名前が書かれていて さびた感じが気に入っている いつも学校帰りの時間、その4階の小さな窓から …

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逃げ水に追いつくと死んでしまう。もしくは幸せになると聞いたことがある。 ある普通に暑い影がとても濃い夏の朝、裸の彼女のベッドから出て 蝉が鳴き始める白い光を浴びに、外にふらり出た。朝の夏風、焦げ始める光とまだそよぐ涼しい風 揺らぐアスファルト…

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また薬を多めに飲んで寝た。 起きた頃に家のチャイムがなった 昔の彼女がやってきた、リミ着ていてかわいかったから家に入れた、 コーヒーを入れさせて、僕はまた本を読みながら、 半分夢の世界を 手に入れだした、 黒い紙で包まれた箱を渡された、さとっく…

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図書館の奥でソファーの上で本と夢と現実の間をうろうろ漂っているうち に暗くなっていた うすぐらい書庫をぬけて、かわいい司書の女の子の涙を横目に 外に出たら暗い雨が降っていた、 濡れるのもいいかと そのま雨の中に紛れた 薄暗い空に黒い木の影が覆い…