27

灰色の粉が降る街の跡を、ひきずり歩く
欲しい物がないから 奪うことはない
なんとなく西に向かう 東でもいいけど 日の沈む場所に 向かうという理由を後からつけてみる
こころがぽかり暇だから、恋人のこととかを想ってみる
足を勝手に歩かせて ここから離れる 


妄想の世界へ
恋人に甘え 飲み込まれ 快楽におぼれ 特別さを感じた
夢の窓から現実を望遠鏡で覗き込むと
灰の砂丘に光り輝く神々しいものを 見つけた
急遽現実に戻り 
走った 走った
こんなに現実は 息苦しく 狭くなっているとは思わなかった
灼熱の太陽の下 走った 喘息の発作
数 人の人とすれ違ったが 誰も光を追う人はいなかった
光に気づいているような人はいた
もう近くだ、思ったより早くついた 光るそれに近づいてみた
恐る恐る手を伸ばすと 指先に痛みを感じ
少しばかり赤い血が傷口をなぞった
何だただのの割れたビンのかけらじゃないか
怒りに任せて投げつけてさらに粉々になった
紙が一枚、ビンのラベルだ見ると
そこに
僕の名前が書いてあった
安心して、放り投げた


私はあなたにたどり着きました