28

水たまりをながめながら


水たまりの深い底から 水でぼやけゆがんだ自分を眺めていた
揺らぐまっすぐな光が漂い揺られていた
水たまりの中は心地よく
焦りも不安も感じずに済んだ


現実から切り取られた現実があり
それをひとつの現実だと思い込んで
周りも自分も見ず ころがった

ああ、これは羊水の水たまりだったんだ
産まれたけど生まれていないんだ
生きているけど活きてはないんだ

と かたまりに逃げ込んで ぱたんと扉を閉じた

美しい虚構の水たまりの中で

ああ、沈んでいく、、、