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無駄にほころぶ笑顔を描いて
最上の月に浸らせ
産み泣く 効しなく
出来損ないの仮面は いつまでも売れ残り
湖畔にたたずむ人の美しい光が当たり一面を過剰に
まぶしく心を酔わせ


何もかもが堕ちていく 
捜査の責任は君がとりなさいね


夜間飛行 雨が走り出した、 霧雨が少しずつ、あたりをつつみこんで、
少し前の夕焼けを思い出した 君の白い頬を焼く、
夕日を、 夜の闇の中、とどかない光 計器もこわれて、 僕は暗闇の中、感も頼りにせずに、 ただ、進んだ、
燃料はまだある、僕の気力と、君の微笑だけで、 僕は暗闇の中、飛び続けることができる、
夜2時に、僕の狭い部屋には天使が羽を広げやってくる、 僕はいつも聞く
いつまでですか?
まだですね。
そうですか、
天使は僕を膝枕してくれて、髪をなでてくれる、 僕は冷たい素肌の太腿に顔をうずめる
そして朝を迎える、 僕はまた君たちと、
夜間飛行に出たい
一人の時間も大事だろうが、 僕との夜間飛行、 絶望、鬱、そんなものは、少しの砂糖をまぜれば、 きれいになくなる
さみしさ、こころぼそさ、そんなものは、 きみが、あきれたように笑ってくれる顔だけで十分だし、
僕の夜間飛行、君の性 僕は好きなものは、無理やり手に入れる、 手段も選ばないし、いらないものは捨てているし、
誰も届かない場所に行きたいし、
僕の夜間飛行は、僕しか乗っていなかったのだ、 燃料もなくなった、


まだ飛んでいられるのは、
僕が君を好きだから?