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カワリからよる電話あって
すごくえっちなことがしたいって言われたから
セックスできなくなったって言った
そしたら、私とならできるよって言われた


普通にできた
僕の薄汚い精神を重く実感して眠れなかった


シジョウとの距離が減圧されていって
しずくが、だんだん大きくなっていってこぼれて
試験紙の色が、ゆっくりと変わっていって
NHK時報がなって
洗濯物がゆれて
遠くで、電車の音がゆっくり鳴っていて


僕は眠っているシジョウを抱きしめて
起こさないように、呼吸をゆっくりにした
僕は息をしていることを自覚した
彼女が目を覚まさないで、白いよこがおが綺麗で
写真を撮りたくて、写真にとるのがもったいなくて
カメラにてをのばしたら、彼女が起きそうだから
動けないでいて
CDが一周してはじめっからになって
僕はCDを変えたかったけど
動けなくて
シジョウが起きないと何もできなくて
僕はそれはそれでよくて
静かな時間を
綺麗な顔の近くでいられて
素直にうれしくなって
僕はまた僕の世界にもぐった。



道を挟んで、向こう側でシジョウがご飯を食べていた
僕は僕の事を気づいていない彼女のしぐさが好きで
とおくからそっと眺めている
彼女が、お茶を飲んでむせてたり
嫌いな野菜をよけて食べてたり
ねっころがって漫画を読んでたり


とりあえず僕の事なんかは考えてないのだろうな
そのうちキスがしたくなって、道のそっち側に行ってしまう


世界と
太陽の光線が僕にだけきつく白くにごった透明で
僕はとてもまぶしくて
思い浮かべていたシジョウの顔や気持ちが
別の彼女(シボ カワリ そのた)たちと混じって、
ゆがんだ思い浮かべてたものが、
元の記憶に逆流して
現実の彼女まで変形させちゃう
現実の隣にいる彼女が、別の彼女(カワリ)がする咳をシジョウが発した
世界が
さっき飲んだコーヒーと胃液を吐いた


寒い日陰がずっしり重みをあげてきて
日陰と自然物が形状と名称を変更していった
電線が花が枯れていくときのように垂れていって
電柱が沈んでいって
その代わり、闇のぶつぶつの房をたらした
一つ目赤目の巨人が世界の背景から
僕をにらんだ

太陽が翳っていって 暗くなっていって
でも太陽が、千切れていって
空にいくつもの小さい太陽が増えていって

増えすぎた事で、破裂し初めていって
それが、連鎖しだして、
ああ いつかはすべての太陽がなくなって


僕はもう生きなくてもよくなる
僕の死が始まって
それでも僕の生きる理由はなくならずに


シジョウに会わないと、