Ziggurat5

その全知者の深い瞳は、何をも視線の対象にしていなかった。
ただ深く沈みこんでいた。


透明水彩の黒のアジサイの束を、琥珀蝶の腕輪に通した。
モルフォ蝶に沈金を施した素材のワンピース、背中のチャックを上げた。
チャックに少し髪の毛が絡まったけど、そのまま強引に上げた。
ぷつっと黒い弦がはじけた


濡れ羽の長い髪の毛を、適当に切った
髪の毛の束が、錆びた鋏の冷静な閉じる音が、床に落ちた。


下着を広げて、足を通すように言った
緩やかな流体が、下着の両足が通るところをひるりと抜けていった。

小指の爪が伸びてたので、僕は震える手で、白い手を取り、
薄汚れた瞳の僕は、細い短い小指を時間をとめるように口に含んだ。
わざとぎざぎざになる様に、やわらかい良い匂いの爪を噛み切った


『ふかづめ』
ふわっと、紅いつぼみが千切れるように咲く 声が漏れた


僕は自分の指も深爪で同じだということを伝えた。


沈金の蝶やバッタ、沈金のウイルスやカラス、沈金の悪魔や天使が、彼女を祝福した。


僕は彼女の美しさの中で、何より、スカートのすその揺れ方にどきどきした。