33


始めは黄色がすきだった
3月うまれだから 黄色なのかな 甘い匂いがしそうだからか

でも幼稚園で黄色はかっこわるいって言われただけで嫌いになった

買ってもらったお気に入りだった黄色い帽子を
たちばさみで切り刻んで母親に怒られた


次は緑が好きになった べったりした緑というより
キラキラした緑がすきだった
ヒーローの武器みたいにね

それからだんだんと僕の緑はクリームがかっていって

白くなりはじめた

けどそれに反して緑は濃く濃くなっていった


たぶん自慰をするようになって
白がぬけていって
もっと緑は濃くなりつづけた

もう黒なのか緑なのか

見た目はわからなかったけど、僕はそれが緑だって知っていた。


小学生から中学生になって 
女の人を知って おぼれていくさなか
自覚も無く

緑は黒に入れ替わっていた


それから僕は大人になるまで
黒と生活した

黒がいつもどこか近くにいて
僕はそれを感じていた

黒は僕にいつも自殺とそれをやめるための妥協案の提示をすすめた
黒は僕の好きな音楽が嫌いで
すぐ違う音楽をすすめた
僕は黒の言いなりになって でたらめに音楽を聴きまくった
そのころはラジオくらいしか 無料の音源が無くて
あとはインポートのきたないCD 屋さんに通った
そのころインポートのCDは開封した感じで売られていて
視聴が全部可能だった

僕は週に黒と一緒に何回も通って
少ないお小遣いで黒が好きそうなCDを買った
黒の趣味が僕の音楽の趣味になった

僕や黒の音楽を好きな友達はクラスにはどこにもいなかった
僕は黒と一緒に休み時間をすごして

放課後の教室で、エッチなことをして
黒の生理前にはいつもけんかをした

黒が段々と僕の心を分析し始めて
僕は解析されて
僕は深みを知らなかった

黒と背中を合わせてゴダールとか思春期にありがちな映画をあさって
僕は何をやっても僕になれなかった
黒はいつもうまくやっていった

黒はキスが好きだった
僕もキスが好きだった
何時間も唇が痛くなるくらいに毎日黒とキスをし続けた

黒は僕の好きな色になっていた
処女だったルエとセックスしたとき彼女は昔の霊性を取り戻した感じがしたっていっていた
僕とセックスすると昔の感じが読みがえるってね
そのこは僕は何時間もセックスし続けるのだけど
その後は肌とかすっごいつやつやしていた

彼女をいっぱい作って
僕は黒にするように
セックスで依存させた 僕にはそれしかないと思っていた


僕はダイバー 苦慮と深淵と何回もの突入 疾走を繰り返した

そんな黒との生活が段々と黒と合わなくなってきた
僕のくらやみが光を出してきて
吸血鬼の僕はとてもとても怖がった

黒がいない、

僕は自由になった

黒は今じっとり僕を後ろから抱きしめた
首を吸って 耳をなめて
唇を求めた


黒の話は概要はこんな感じ
黒はただの色の名前


黒を早くナイフで切り取らないと