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君の手を離さないように、僕は両手を伸ばす
2本しかかない手を君のために伸ばす


僕はシジョウの胸の中に顔をうずめているとき
泣いているのかもしれない


卒業式がある

僕も呼ばれていて、

硬い卒業証書の筒
硬くて小さい唇
硬く整えてない眉
成長しきってない、体のラインを持ちながら卒業する

陸上のスタートラインで、僕たちは走る準備をして

スタートの合図の銃口は僕たちに向かれていて
スタートと同時に射殺される

卒業おめでとう

新しい日のためにおやすみ

成長を閉じていく身体は、
もう僕の脳をとかすことはなくなって


おめでとう


軋む空、桜が青い空にパラパラ散っていって

沼にも降り積もって

沼の底にも春を呼んで

沼の底は春なんか 享受しない


風邪が治んなくて頭が痛い
仕事が溜まってきていて、塾に行った


遊園地が青い夕方で、照明はまだついていなくて でも暗くて
僕は座っていた ベンチの上とかじゃなくて
コンクリの地面の上で
足を伸ばして 首をかたげて
力が出ない

青緑のフィルターの空に観覧車が影絵のように回っていて
僕が買ったポップコーンを夕鳩がついばみ始めて
カラスが僕をついばみはじめて

きいろいふうせんがほしいな


もうひとつの世界で、僕はバスに乗っていた
バスはいっぱいで 
みんなうちに帰るか、お酒でも飲もうか セックスを買おうか
とか考えていて

僕は風邪も引いたけど、脳のひずみがまだ直ってなくて
ガリガリと冬のさむさとさみしさが皮膚を剥がしていって

後ろのおじさんが、独り言をいい続けていた

その独り言は、不満と悪口で
それ自体は、そのおじさんがそのおじさん自身を形成する上で
必要な事だと思えたから
割と苦痛だったけど、許す

けど、独り言を一文言った後 つばをくちゅくちゅ言わせるのが気持悪かった

そのおじさんに舌を入れられているみたいで
許さない


もうひとつの世界で

あえない神様のことを考えていた
その神様は、僕のいないときだけ存在して
僕が現れると消えてしまう

僕がベッドからトイレに行くと、
トイレにいた神様は消えちゃって
おしっこしてるときは ベッドに神様はいて
また僕がベッドに戻ると神様はいなくなる

神様はたまに間違えて僕に見つかって、セックスされちゃう

もうひとつの世界で

いまだに僕は年上の男の人と部屋で二人っきりになるのが怖い

頭が痛くてその分の女の子が足りない


風邪引いて、寝込んでいて
カワリのことをほうっておいたら
太ももの僕の名前の字が
太くなっていた
僕はだめだよって言って
まだ熱が引いてないのに
風邪がうつるかもしれないのに
セックスした


そんで塾戻って
授業を適当にやった