9


桜の枝が、夜の闇に影だけがうっすらとみえていて
その闇の中でさえピンク色の枝になっていて
とても綺麗だった


遠くの深い都市にいる僕があったことのない人も
このピンクが見えるのだろうか

見えるだろうかと思うけど
本当は僕しか見えないのだ
なんて事実はなくて


桜はみんなに破裂する


僕は甘んじて破綻する


僕はふつーにサイレースをのんで健忘して悪夢見て
そんな普通の僕だ

シジョウじゃ興奮しないから
シジョウの分身や影の事を思って発情するように
自分の精神を入れ替える作業を夜と明け方やっている


カレーを食べ過ぎて、冷たいコーヒーを飲んで お腹を壊す


死体のシジョウとあそぶじかん
クラスルームに夕光が注ぎ込まれてきた
よごれたカーテンがまるで風があるかのようになびいた
心臓の音が聞こえて
サッカーボールがバウンドして、足元に転がってきた
二つ椅子をならべて、シジョウと手をつないで
夕方が夜に移る時間や温度、光、景色

シジョウは黒板に向いていた椅子を窓に向けた
二人座りなおした 
座りなおしたときに、つないだ手、互いに絡まった指が外れていって
最後の小指が外れるとき僕は寂しく感じた

シジョウはスカートをなおした

夕方から夜にかけて太陽がゆっくり3回転した
クラスルームの後ろにある
帽子をかぶった骸骨は、僕の前の体

木犀がゆれていた
月が線になってまぶたを閉じた

僕は吐き気と抑うつ離人で自分を感じる

こんなくだらない文章 垂れ流して
きらわれて きらわれて 期待を裏切って


シジョウは動かない体で綺麗に泣いていた