33 rape an angel

赤いオレンジ色の真夏も終わり だるい熱気が薄黄色の点滴のパックの感じと似て
汗ばみシャツを汚しつづける。 
80年代昭和の古いアパートの8階まで、いつものことながら必死に上がる。
まぁ 家賃が安いから仕方ない、


Re:Re:死ねって簡単な言葉だね?とメールが着信、無視。


さりげなく、なんも意味も冗談で降り積もる白欠けた粉も持たない <
今日でもう終わってしまうような千切れた夕日が、
深い紺色に大地を惜しみなく絞り染めぬく。


必要のない回想
うっすらたるく激しく断片的に浮かぶのは
青白い女、血液 網目のようなチューブ 放置された青いペンキの小屋、長い雨 愛人の愛人 白骨
昼間から歪んだ脳の色に似た灰色の三日月 シーラカンスの前半分 匿名の手紙 噂話 
虚構に満ちた僕の世界


内臓のような7階のピンクの階段に膝を抱えて座る、ナナだからピンクって管理人が言っていた。
ここから見える風景が好きだ、目の前にコンクリの高層ビル、
風景といえるものじゃない、 目の前を覆う大きな壁が、僕の薄い未来を
騙してくれるようで、君の夢も 夜ごとつむいだ夢も
軽く粉々にぶつかって、投げつけたトマトのように コンクリに血液の混じった白濁の液をぶちまける
「ゆきどまり」 ‘いき’だろ  人生ゆきどまり。


コンビニの袋から 飲み飽きた缶コーヒーを取り出す。
十円玉で器用にプシュンとあける。少し飛び散って茶色い液体が手のひらにかかる、なんとも不快だ、べたべた。


ぼんやり眼球を浮かべる、前の希絶望の壁を眺める。
突然!ぐしゃりと眼前が一瞬ネガポジぐるり反転して、小刻みに震え ゆっくり色調を元に戻していった。
その世界から帰るときに、 宙に浮かんだ長い髪の人が網膜に映る 
女だ。(白いワンピース?)


終わりの日の夕日で紺色に染まった、白いワンピースが綺麗で気に入ったから。
「メロンクリームソーダ飲む?」と ぬるいのに少し笑って受け取ってくれた。
何で自分が飲まないだろうメロンクリームソーダをファミマで買ったのかわかった


「ありがとう。あ、栓開けてくれません?私、深爪なので」
「僕も深爪 十円を使うんだよ、」
開けるけてあげた、飲んでいる。
「歌ってくれません? 1時間でいいので、」とか言ってきた
「歌うたうの下手だから やだ」
「何で君は浮いているの?」
「何であなたは浮いてないの?」 そうだね、僕は何で浮いてないんだろう。
「君は何しに来たんだい?」
「あなたに会いたくてきたのよ」
「会えてよかったね」
「いいえ 会えてないわ」
「目の前にいるじゃないか あまいぬるいメロンクリームソーダだって飲んでくれたじゃないか」
「あなたはその階段にへばりついているわ うんと 浮いてないってことよ」
「そして 私に何で浮いているの? とか聞いて来るんだよ、ひどいと思わない?」
「ひどいね、」
「ほんとひどいわ、」
「そんなあなたは あなたじゃないわ だから私はあなたにあってないのよ」
「じゃあ 僕に会えない君はかなしいんだ?」
「忘却はとてもとてもやさしいものよ」
「なんで、君はそんなわかり易いのに、浮いていられるんだい?」
「あなたは、難しくもわかり難くもないから、普通だからそこにしがみついているのね?」
「浮いているところから見れば、そう見えるかもね、僕は浮きたいわけじゃない」
「浮きたいって言ってたじゃない」
「いまはちがう、」
一言僕がそういったとき
その時君が何を見ていたのか、感じていたのか知らないが、 とっても さみしそうな表情をした。
僕は、