stagnate3

主塔の少女について
年は12から14くらいだろうか
細いしなやかなからだ、
長い黒いつややかな髪
はれぼったい下唇
そうわかりやすい、消費されやすい 少女の形だ


長方形のノイズでぶれる、灰色から汚い緑色に似た 厚さが1mmもない壁面が浮遊している
ただ浮遊していればいいのに
形状を少女に最適化しようとしている 恋人気取りだ
その技術は、とてもチープで、女に触った事がない少年のよう


壁面は彼女に恋をしている
とてもきれい過ぎる恋だ
壁面には生殖器もなければ、唇も抱きしめる腕もない
壁面は、曲がる事ができなかったが、
愛の力とやらで、軟体に彼女の体を包んで 寂しくないように
暖める事ができるようになった、

壁面は少年の形に最適化されていくだろう
そして、セックスをするだろう、
定型の、好きだとくだらない言語でいいはなって

壁面は何もまだ知らない、知識だけを吸収したから
この世界の適当さを、知らない
常識は多の世界のため、非常識は個の世界のため
どっちがどっちに折り合いをつける事もない

壁面は、少ないお小遣いで、花を買った
主塔の少女に届ける事はできなくても

胸の奥に愛情を献身を壁面は考える

どこまでも壁面は広くなっていく
主塔は汚れた水色と緑の壁面がロールしていく

主塔は飲み込めた、


僕は壁面に苛立ち、

その存在を否定して、壁面を散らした
霧になって主塔にまだこびりついた

壁面から魔物が生まれた、仕返しの魔物 
僕は光る剣で脳みそから魂を引きずり出して
呪文をとなえて、それは致死量で壁面の内構造も外構造も心構造も終わらせた
魔物を退治した

主塔の少女は悲しんだ、
その悲しみを写真に撮った

僕の行為は 野蛮だけど、勇者だった。汚い勇者だった