初恋


99

色とりどりのセロファンを膣と奥歯で噛んでみた。
テレビでは、声優のあえぎ声と君と世界の真裏という番組がノイズ放送されていた。
旧月の折り紙が、玄関の入り口を液体と液体とともに跳ね飛ばされていた。
時間とスーパーボールを小さい手一杯に持った4階の妖怪の娘が、それらをかじっていた。
それが粉々にキラキラひかり、光り輝くミゾレのように降っていた。

愛情という容器に、精液と愛液と恋人のいい匂いの唾液を混ぜて

携帯電話の小さな画面では、大きな火口から、紺と蛍光グリーンの溶岩が雪崩れおちていく
海岸はモノトーンの珊瑚、モノトーンの生活用品、モノトーンの性ホルモン それらで満たされていて
紙切れでできた脳、電気信号に反応しない、インクでよごれたフード、体液を何度も洗い流した口の中

日に焼け始めた、手首の先の、手のひらの先の、指の先の あなたの舌のさきの 貴方を

この大空と世界は、何度も膜を破られても、膜を再生し続ける

そして私は初恋を何度もつらぬく

00

洗えよ、自分が性別を超える
大気圏 完全に世界は分割されない

私の名前はチル、日本人だ!
好きなごはんはやきそば!オムライス!
母親の怒鳴り声と父親の目つきとため息が聞こえると
処女膜を触って確かめる

私という意識のほとんどは私のものじゃない
不器用に指を飲み込んでいく、
乾燥と、甘い甘い傷と
いつまでも深く哀れむ、気体に卵を産みつけ
血色と便利に愛を使う
その藍を洗って、膜をなぞる
無重力の夢を見て起きて、重い物理的な引力とそれに影響を受けて
重い精神活動が

靴下を靴下箱から引き出す
何回取り出してみても
靴下がそろわない

下着の上下は目をつぶっても、目をつぶしてもそろうのに
さあふられて、生きよう、振り回されて生きよう

隕石がブレながら落下して隣の県をつぶした。

そして今日も私の靴下はそろわないし
贅沢にも世界に買った様に私の処女粘膜は滑った反発を返す。

さあ、撮影用のどしゃ降りの中で、作られた虹の中で歌おう

私の名前はチル

あふれんばかりの霊性と、思考の重さをもつ

恋はいつでも初恋だ

さあ、あの複雑な思考形式をひもでぐるぐるにまいて

セックスをえさに、馬鹿みたいな男のようなことを言わせたい

かわいいねとかすきだとかね

私は想像する、私は現実をする、私は甘えたい、私というものがなくなるくらいに

小指をアルコールランプであぶっていた

sing in the rain bow /

01

電車の枕木の間隔をつくった人間には処女をあげたい ガタンゴトン
傷のついたCDを再生したときになるチックツイチックという音を許容した人に処女をあげたい



ああ しょじょまくがたりん。

キスして胸を舐めて首とか舐めてだんだん下に行ってじらして、
いやらしいことを言わせたがって、何回も気持ちいい?と聞いて
いれていい?とか聞いてきて イっていい 顔に出していいとか
ここまでテンプレートのように繰り返すやつのちんこ片っ端から切りたい


ああ ちんこ絶滅してしまう


こんなこととを壁中にクレヨンで書いて世界中のすべての時間のメールアドレスに送り付けたい

02

わたしがこんなに涙を流しているのは私も知らない
涙にインクで色をつけて、水色の涙を流したい
お姫様の絵のように音も立てずに泣きたい
感情もなしで、何にも傷をついたり、ストレスを感じてなかったり
明け方のオレンジ色の空とゴミに群れる、濡れ羽のカラスたちを自分と置き換えたような
そんな感動なしに

地球の70%くらいを私の涙にしたい

世界の網膜の70%を私の涙にしたい

世界の70%の水を欲しがる人に私の涙にしたい

グレートマザーの70%を私の涙にしたい

初恋のあの人は精液を毎日毎日だしていた

何かの70%にしたいのかな?


03
死んで生きるまでに、世界中の大体の人は右足と左足の靴下がそろうことはない
そろわない片一方の靴下は、多分もう一人の自分が履いている
気がする

あの金髪の子がレイプされてて服がぐしゅぐしゅにやぶられ
精液をいっぱい子宮に注がれたあと
焼けたスプーンをまんこに突っ込まれて
抵抗と、おそろしさと震えと、
自分を自分と認識しないような、精神の防衛本能が働いて
しなり、踊る、細い白い足に脱がされず残っている靴下が

私の靴下とペアかもしれない
その子が私でその子も、35度の外気と、設定温度15度の室内で
自分の存在を否定して、キャラメルコーン食べて、コーラゼロのんで
次はアイスを食べようかと思っている
薄い肉のない私のことを

もう一人の私と思っているに違いない

金髪の子の名前はクシフィシク、
天道虫の羽を切り取り集めるのがすき
将来は医者になりたい、図書館の閉架図書を借りるのがすき
ほんの匂いが好きな父親に似ている
さっきまで処女だったけど永遠に処女だ

足の健を切られて
体中に噛んだあとと
やけどのあと

68分で人相が変わって

84分で冷たくなった


04

今日は片足しか靴下がない
よくわからない事が世界にあるのは知っている

高気圧から低気圧に風は吹いて
ストレスは弱者を探して
精液は絵画を量産する
そんなあたりり前のことはもう起きない

手の中にバタースコッチのチェルシー

靴下の不機嫌を腐りゆく花びらと、くさりゆく女の中で

やった

わたしには自分さえ居なくなったんだ!

他人の存在というものは

自分を否定していくんだ

人ごみで発狂する気持ちがわかる

何万人もの人が、個人を否定してくるのだ!

完全な暴力の中で

私は発狂していた!

無印のカッターで何万もの人を切り裂いて

私を肯定する作業が終わった!

私さえ居ない世界にこんにちは!

こんにちは!こんにちは!こんにちは!こんにちは!こんにちは!こんにちは!こんにちは!

こんにちは!こんにちは!こんにちは!こんにちは!こんにちは!こんにちは!

まんこと子宮と白い首と眼球にささったカッターナイフを

小さな小さな私の指で一本ずつぬいていった

両足の靴下が脱げていた。

白い細い足首と

かかとのちょっとうえに深い傷があった

ああ

月曜日だからジャンプ立ち読みに行かないと

小さな自転車で

コンビニにいかないと

朝のつよいつよい白色の光を舌で味わい
カラスの鳴き声を肌に吸収させ
明け方まで続くママのあえぎ声を網膜で感じて
生理の血の匂いを聞いて

秋を粉々に
季節を無産

月明かり、あてにならない

どこまでも 失速する

期待をなんども、私はする

生命が特別じゃない



螺旋をといて



未来はやさしいんだと 私は作り笑顔をつくって、自然なほほえみを隠した。


ああ


びーさんの色が合ってない


初恋のあの人の背中のぬくもりは 初恋のあの人よりすき