aciddrop1


霧雨が降ってきて、網戸の外はキイロのクレヨンの油の匂いがした
カラスアゲハの交尾細工の秒針がカッチカッチ音を立てていた

「私の弱みに 付け込んで、犯してください」
単独行動をするキイロいレインコートの女の子(チョウ)が玄関にやって来てそう口で表現した。
(僕/アメ)は鱗粉転写と「どこかに行かなくちゃ」と口から漏らす事をしていて
それに気づかなかった

雨粒の大きさが直径0.5mm以上になってきた
キイロのレインコートの中のチョウの小さな胸は薄い不安を抱いていた
「この雨がもう降り止まないのではないか?」
「アメが私を家に上げてくれないのじゃないか?」

僕は鱗粉転写を投げ出した
つくえけとばしてね 
いつもの缶コーラ片羽の蝶のプリントのやつが飲みたくて
自室から、連絡廊下をとおり
長靴がきちんとならんだ玄関前を通り貯蔵庫に行った

チョウが勝手に上がって冷蔵庫からコーラを盗蜜していた。

僕は外の雨が苦手で彼女に花粉媒介をしてもらって
世界のあり方を俯瞰していた

なんで勝手にコーラ飲んでるの?

喉が渇いたのとアメに叱られたかったから
あとこのコーラ飲まないと酸欠になってしまう

斥候みたいに私は自転車で世界をあなたに伝えないといけない

そんなことは僕はどうでもよくて
僕はコーラ飲んでいるチョウの足元に座って
キイロのレインコートから伸びている
太ももの内側とかもなめた
チョウはいつものように嫌がりもせずコーラをのんでた
キイロのレインコートの下は裸だった
白い足が伸びているとこの翳った性器を見た

性欲を感じたけど、なんかどうでもよくなって
部屋に戻って燐粉転写の作業に戻った

4時間ほど交尾細工が回って
僕は洗い物や掃除などを始めた

最近は家事がたのしい
抑鬱した夕方の影がここちいい
夕方が降り病むまで、
心をゴムで覆う 離人をコントロールする

夜が惜しげもなく室内まで流れだしてきた
チョウは僕のよるのご飯をつくる
大きなスプーンでばくばくたべられるのをつくってくれるからうれしい

ご飯を食べて
お風呂に一緒に入って お風呂で泡まみれでつたないセックスして
はみがきとか、寝る準備をした
チョウの手首をベッドの鉄の柵につないで
いれた
なんか考え事してて 射精できなかったけど
チョウは興奮していた

もう寝よう

おやすみなさい
おやすみ